基礎確率論①表したい現象を数学記号で書く-その1

確率統計学の基礎となる考え方に
集合というものがあります。

なぜ集合という考え方が大切なのかというと
よく感覚で語られがちな確率論


これを、今後私たちは
数学を用いて表現する必要があるからです。


果たしてどのように表現するのか。
その表現方法が今回扱う集合です。

ここに集合の定義を入れる!!

例えば
「サイコロを一回振り偶数の目が出る」
という現象を数学的に表現したいとします。


まず我々が最初にやることは

サイコロを1回振って得られる結果を
$\Omega=\{1,2,3,4,5,6\}$と表すことです。


どういうことかというと、

サイコロを1回振ると
結果として$1,2,3,4,5,6$の目の
いずれかが出ますよね。


ここで「○の目が出る」と
毎回書くのはなかなか大変ですし

言葉で表されているものを
数学で扱うことは難しいという理由から

$1$の目が出る→$1$
$2$の目が出る→$2$

$6$の目が出る→$6$

のようにサイコロ振りの結果を
数字で代表させます。



そうすることで、
サイコロを1回投げて得られる結果は
$\Omega=\{1,2,3,4,5,6\}$
と表すことができます。

※サイコロを1回振った時の結果を
$\Omega$ と表しましたが、

この文字 $\Omega$ は「オメガ」と読み
数学用語では標本空間と言います。

今後も「サイコロを投げたり」
「コインを投げたり」した時の

結果を集合で表したい時には
$\Omega$ を用いて表すことになります。


ここまでで
サイコロを1回振った時の結果は

$\Omega=\{1,2,3,4,5,6\}$
と表すことができました。

さて次の段階に進みましょう。


もともと我々が表現したかった
偶数の目が出るという現象ですが

標本空間 $\Omega$ 同様に
文字で表すことになります。

別に文字は何を使っても良いので
今回は $A$ で表すことにします。



偶数の目が出るということは

$2$の目が出るか
$4$の目が出るか
$6$の目が出るか

この3つの内いずれかですよね。


そして $x$の目が出る→$x$
と数字で代表させると決めていたので

偶数の目が出るという現象 $A$ は
$A=\{2,4,6\}$
と表すことができます。



ここまででサイコロを振って
偶数の目が出るという現象を

数学の集合記号を用いて
表すことに無事成功しました。


サイコロを1回振るという現象は
集合の記号を用いて

$\Omega=\{1,2,3,4,5,6\}$
とモデリングすることに成功し


サイコロを1回振ったとき
「偶数の目が出る」という現象 $A$ は

$A=\{2,4,6\}$
と表すことに成功しました。


今後はこのように集合の記号を
用いて確率について述べていくので、

今回習ったことは
忘れないようにして下さい。

※かっこ{}は集合を表す記号。
これから習うので
まだ分からなくても大丈夫だけれど
今の例を見れば意味はなんとなく分かるはず。


他にも裏表があるコインを2回振って
その結果を

(1回目の結果、2回目の結果)
と表すと約束すると

「表が1回だけ出る」という現象は
集合を用いて

{ (表が出る,裏が出る) , (裏が出る,表が出る) }
と表すことができます。

—–

今の例は簡単なものでしたが、
このように現象を数学を用いて表すため
集合という概念が利用されます。

さて、集合がどのような場面で使われるのか
なんとなく理解したところで次に進みます。

これから話す内容は
集合の定義と集合の表し方です。


さあ、確率の話をする準備として、
大切な考え方である「集合」を
一緒に学んでいきましょう!

—–

まず最初に、「集合」と「集まり」
の違いについて解説していきます。

結論から言うと
集合は数学で用いられる用語で
集まりは数学用語ではありません。

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