確率統計学の基礎となる考え方に
集合というものがあります。
なぜ集合という考え方が大切なのかというと
よく感覚で語られがちな確率論。
これを、今後私たちは
数学を用いて表現する必要があるからです。
果たしてどのように表現するのか。
その表現方法が今回扱う集合です。
ここに集合の定義を入れる!!
例えば
「サイコロを一回振り偶数の目が出る」
という現象を数学的に表現したいとします。
まず我々が最初にやることは
サイコロを1回振って得られる結果を
$\Omega=\{1,2,3,4,5,6\}$と表すことです。
どういうことかというと、
サイコロを1回振ると
結果として$1,2,3,4,5,6$の目の
いずれかが出ますよね。
ここで「○の目が出る」と
毎回書くのはなかなか大変ですし
言葉で表されているものを
数学で扱うことは難しいという理由から
$1$の目が出る→$1$
$2$の目が出る→$2$
…
$6$の目が出る→$6$
のようにサイコロ振りの結果を
数字で代表させます。
そうすることで、
サイコロを1回投げて得られる結果は
$\Omega=\{1,2,3,4,5,6\}$
と表すことができます。
※サイコロを1回振った時の結果を
$\Omega$ と表しましたが、
この文字 $\Omega$ は「オメガ」と読み
数学用語では標本空間と言います。
今後も「サイコロを投げたり」
「コインを投げたり」した時の
結果を集合で表したい時には
$\Omega$ を用いて表すことになります。
ここまでで
サイコロを1回振った時の結果は
$\Omega=\{1,2,3,4,5,6\}$
と表すことができました。
さて次の段階に進みましょう。
もともと我々が表現したかった
偶数の目が出るという現象ですが
標本空間 $\Omega$ 同様に
文字で表すことになります。
別に文字は何を使っても良いので
今回は $A$ で表すことにします。
偶数の目が出るということは
$2$の目が出るか
$4$の目が出るか
$6$の目が出るか
この3つの内いずれかですよね。
そして $x$の目が出る→$x$
と数字で代表させると決めていたので
偶数の目が出るという現象 $A$ は
$A=\{2,4,6\}$
と表すことができます。
ここまででサイコロを振って
偶数の目が出るという現象を
数学の集合記号を用いて
表すことに無事成功しました。
サイコロを1回振るという現象は
集合の記号を用いて
$\Omega=\{1,2,3,4,5,6\}$
とモデリングすることに成功し
サイコロを1回振ったとき
「偶数の目が出る」という現象 $A$ は
$A=\{2,4,6\}$
と表すことに成功しました。
今後はこのように集合の記号を
用いて確率について述べていくので、
今回習ったことは
忘れないようにして下さい。
※かっこ{}は集合を表す記号。
これから習うので
まだ分からなくても大丈夫だけれど
今の例を見れば意味はなんとなく分かるはず。
他にも裏表があるコインを2回振って
その結果を
(1回目の結果、2回目の結果)
と表すと約束すると
「表が1回だけ出る」という現象は
集合を用いて
{ (表が出る,裏が出る) , (裏が出る,表が出る) }
と表すことができます。
—–
今の例は簡単なものでしたが、
このように現象を数学を用いて表すために
集合という概念が利用されます。
さて、集合がどのような場面で使われるのか
なんとなく理解したところで次に進みます。
これから話す内容は
集合の定義と集合の表し方です。
さあ、確率の話をする準備として、
大切な考え方である「集合」を
一緒に学んでいきましょう!
—–
まず最初に、「集合」と「集まり」
の違いについて解説していきます。
結論から言うと
集合は数学で用いられる用語で
集まりは数学用語ではありません。